不動産投資はインフレに強い。そんなことを聞いたことがあるかも知れません。今回は、この家賃の変化とインフレの関係について解説していきたいと思います。
不動産投資は、投資とは言うものの長い年月をかけて行う不動産賃貸業です。不動産を購入して、住居スペースを提供するサービス業であるともいえます。サービスを提供しているということは、世の中の物価水準などの変化に合わせて、家賃の変動もあるということですね。
インフレって何?
まず簡単にインフレについての説明をしておきます。インフレとは中学の社会の時間に習ったと思いますが、モノやサービスの全体の価格、物価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象のことを指します。
その中でも、物価上昇の原因が、経済成長により、モノ不足が発生して、ものの相対的な価値が上昇した結果、価格が上昇するという形をインフレと定義しています。当然、経済が成長しているので、最終的には給与も上昇するというスパイラルが本来のインフレの意味です。
インフレのときは、金利も同時に上昇する傾向にあります。
現在も物価の上昇はありますが、不況下にも関わらず物価が上昇を続ける状況ですので、こちらはインフレとは区別しスタグフレーション(stagflation)と呼ばれます。
現在の物価上昇は、円安による石油価格の上昇、輸入商品の価格上昇などが主な原因となっているようです。
また、スタグフレーションのときは、不況なので、金利は低い状態で物価が上昇します。
不動産投資がインフレに強いってどういうこと?
不動産投資はインフレに強いという議論をよく耳にします。ここでいうインフレというのは、一般的な意味でのインフレで、先ほどの説明で言うと、経済が成長することによる物価上昇を意味しています。
インフレになると、今まで100円で買えていた物が120円出さないと買えなくなります。つまり、タンスに100円を入れておくと、100円の価値が下がってしまい、現金を持っているだけでは、価値がどんどんと目減りしてしまいます。
ここで、手持ちの現金を現物のマンションなどに換えて所有していれば、物価にあわせて家賃も上昇しますし、転売する場合の価格も購入時よりも高くなる可能性が高くなります。こういった理由から、不動産はインフレに強い資産だといわれるのです。
しかし、インフレ時は金利も高くなるため、多額のローンを組んでの不動産投資は、リスクの高いものとなります。インフレが終了しデフレに向かうとき、家賃は下落し、不動産価格も下落し、残るのは大きなローンだけとなってしまうためです。販売価格がローンの残高よりも低ければ、それを穴埋めしなければ、物件を処分することすらできないため、多額の金利を自腹で支払い続ける状況となります。このようなメカニズムが起こったのが、バブル崩壊後の日本です。
また、インフレ時は銀行金利も高いため、わざわざ不動産投資を行わなくても、銀行に貯金をしておけば、それなりの金利を得ることが出来ます。物価上昇とともに給与も上昇するので、給与所得者にとっては、急激なインフレでない限り、それほど苦になるものではありません。
スタグフレーションと不動産投資の関係
さて、現在はインフレではなく、スタグフレーションの状況ですので、インフレ時とは不動産投資への経済の影響が異なります。
まず、スタグフレーションのときは、金利が低いため、不動産投資にローンを使う場合には有利な状況です。また、世の中的には、給与所得が伸び悩んでいるため、誰でも不動産投資が出来るような状況ではなく、一部の給与所得が高い層のサラリーマンや公務員、医者や弁護士などにとっては、競合が少なく物件を入手しやすい状況でもあります。
ただし、世の中全体としては、給与所得が伸びていないため、あまり高額な家賃の物件については、入居希望者が少ないため、手ごろな家賃で入居できる、便利で清潔な物件を狙って購入する必要があります。
また、スタグフレーションのときは、銀行金利も低いため、貯金をしていても現金は増えませんし、給与も増えません。しかし、物価ばかりは上昇するので、なにかしらの投資などで所得を増やすか、生活費を切り詰めないかぎり、生活は苦しくなっていく傾向にあります。
まとめ
今回は、インフレやスタグフレーションなどの経済状況と不動産投資の関係について解説してきました。内容は、
【インフレって何?】
【不動産投資がインフレに強いってどういうこと?】
【スタグフレーションと不動産投資の関係】
でした。
現在は、都心などの高付加価値物件の不動産価格がじわじわと上昇し始めています。あまりに価格上昇が大きいような場合は、局所的な不動産インフレが発生している可能性もありますので、投資を控えることが正解の場合もあります。経済の動向を見極めて、失敗のないマンション投資を行ってください。
不動産投資はおいしい話、うまい話ばかりではありません。自分の身は自分で守れるだけの知識を持って、不動産投資を始めましょう。
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