今回は、不動産投資のリスクについて考えていきたいと思います。

投資というものは、不動産投資に限らず、株式投資でもFXでも、相応のリスクがつきものです。不動産投資の危険性と、そのリスクをどうやってコントロールしていくのかについて、空き室(空室)の側面から見ていきたいと思います。

どのような投資においてもリスクをゼロにする事はできませんが、考え方や取り組み方、また物件選びや融資選びなど、不動産という現物投資であるからこそできるリスク軽減(リスクコントロール)の方法もあります。

空室リスク

空室リスク

不動産投資において家賃収入が入らないという空室状態は、最も大きなリスクの一つです。

このリスクを抑える方法は空室の時でも家賃を補償してくれる空室補償でしょうか?

これも答えのひとつなのですが、本質的にはもっと大切なことがあります。

空室保障は、空室になってからの保証ですが、そもそも空室にならないことが根本的な解決策です。

空室になりにくい物件とは、簡単に言えば部屋を借りたい人がたくさんいるにもかかわらず、貸せる部屋が少ない環境にある不動産です。つまり、需要と供給のバランスで、空室になりやすいかどうかは、ある程度決まってきます。

需要と供給

需要と供給は、立地で決まる部分が多いのですが、日本の都市で、今でもダントツに毎年人口が増えているのは東京です(需要が増加中)。

また、国土交通省データによると、新しく建物を建てることができる土地の割合が最も低いのも東京です(供給が少ない)。

つまり、現在、日本の中で部屋を借りる需要が、最も増えているのが東京であり、新たに貸せる部屋を十分に供給する事が難しいのも東京ということになります。

さらに、同じ東京にある物件の中でも、間取りのタイプによって、需要と供給には違いが出てきます。たとえば、家族向け賃貸市場(ファミリーマンション)と、単身者向け賃貸市場(ワンルームマンション)があります。

ファミリーマンションの賃貸需要

ファミリーマンションの賃貸需要

ファミリーマンションに住む人は、現在のように不動産価格が底値に近く、金利も低い時代ですと、毎月賃料を払い続けるより購入しようという人が増えます。

いくら人口が増えているとは言っても、借りるよりも購入する人の割合が増えれば賃貸市場は低迷します。

逆に不動産価格が上昇したり、借入金利が上昇したりすれば、賃貸派が増えるとも言えますが、長い目で見ると需要が安定していません。

ワンルームマンションの賃貸需要

ファミリータイプに対し、ワンルームマンションに住む単身層は、学生さんや、まだ収入のそれほど高くない社会人です。また、仕事の都合で単身赴任をしているサラリーマン等もかなりの数に上ります。

こういった人たちは、いくら不動産価格が低くなっていようが、借入金利が安くなっていようが、自分が住むために、わざわざワンルームマンションを購入はしません。

それゆえに、経済状況にかかわらず、安定した賃貸需要があります。

また、東京の総世帯数に占める単身世帯数(単身者)は年々増加しています。

これには、外国人の方も含め、働くために単身で東京に出てくる人や、希望の大学に通う為に東京に出てくる学生さん、晩婚化や高齢化などによる単身者比率の増加など、多くの理由があります。

こうした社会事情は、短期間で大きく変わる事も考えづらいと思われます。
つまり、ファミリータイプよりもワンルームマンションのほうが、需要が多く、安定した賃貸経営に向いているといえます。

ファミリーマンションの供給

ファミリーマンションの供給
ファミリー向けマンションは、タワーマンションも含め、東京だけで年間約3万戸(2013年)の供給があります。全国のマンション分譲数が約10万戸(2013年)でしたので全国の約3割は東京で供給されたという事になります。
さらに2020年の東京オリンピック後には、選手村を分譲マンションとして販売する予定があり、4,000~5,000戸が一気に市場に供給され、現状では供給過剰な傾向にあります。

ワンルームマンションの供給

それに対しワンルームマンションの東京での供給戸数は、年間5,000~7,000戸となっていて、分譲数はファミリータイプの5分の1程度です。

また、東京都の単身世帯数は約300万世帯あり、総世帯数600万世帯の半分にのぼります。

総世帯の半分が一人暮らし世帯であり、その数も増加しています。しかも、供給数はファミリータイプよりもかなり少ないという状況です。

さらに、現在東京の23区全域では、ワンルームマンションの建築規制がかかっており、新しく単身向けマンションが立てづらい状況になっています。需要は増えているにもかかわらず、供給が先細りという状況になっていると言えます。

つまり、ワンルームマンションは、供給が少なく、ファミリータイプに比べると希少性が高い状態にあります。

まとめ

ここまでのことをまとめると、空室のリスクを長期的に軽減できる可能性が高い地域は、東京です。

また、東京に限っていえば、単身者を対象としたワンルームマンションの需要が多く、不動産投資で空室リスクを下げることに適しているといえそうです。

次の記事では、滞納リスクについて解説していますので、そちらもご覧ください。

不動産投資の危険性(滞納リスク)について

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