マンション投資セミナーなどに行くと、貯金をするよりもマンション投資のほうが良いという話をよく聞きます。これは本当なのでしょうか?
実は貯金よりも不動産投資を行ったほうが有利な時期と、不利な時期というのがあります。現在は、有利なポイントが多いため、都心のマンション投資、特に手ごろに始められるワンルームマンション投資がブームとなっているようです。
そこで、貯金とマンション投資の関係について、今回は解説していきたいと思います。
貯金とマンション投資の利回り
銀行の金利
下に二つのグラフを表示しています。上のグラフは、銀行の「預け入れ金利」の推移を示しています。同じような形をした二つ目のグラフは、銀行の「貸し出し金利」の推移を示しています。
形は同じですが、金利が違い、貸し出し金利は大体、預金金利に2%を足した値になっています。銀行は、預金者から集めたお金を運用して、利益を得ていますが、その利益は、預入金利と貸出金利の差分から得ています。
マンションの投資利回り
次に、マンション投資の利回りについて考えます。
マンション投資の利回りは、家賃を購入価格で割った値で計算されますが、実際には、期待される利回りが先にあって、その利回りになるためには、家賃相場を調査した上で、いくらで購入するのが合理的か、という考え方で値段が決まってきます。
家賃には相場があります。また、物件は、売り主は高く売りたいし、買い主は安く買いたいため、物件の価格は一般的な想定利回りを基準に決まる傾向にあります。その想定利回り(期待利回り)は、購入する物件のある地域によって、おおよそ決まってきます。
キャップレート
この期待される利回り、あるいは相場の利回りのことを「キャップレート」と呼びます。
東京都内の利便性の良い駅から徒歩10分圏内の物件という場合、キャップレートは5%~6%程度になるかと思います。
このキャップレートから、物件の価格を算出する方法のことを、収益還元法と呼びます。
年間家賃から経費を引いた収入が60万円、キャップレートが6%だとすると
収益還元価格=60万円÷6%=1000万円
というように価格が計算できます。
もちろん、築年数や駅からの距離などによって、多少の違いはありますが、利回りがこの値から大きく外れるような価格で販売されている物件があるとしたら、何かがあると考えたほうが良いかと思います。
借入を行うと有利な時期は?
マンション投資の利回りは、キャップレートで決まってくるので、もし、銀行の金利が大きく変動したとしても、大きくは変わりません。これは、金利が上昇した場合も下落した場合も同じです。
このキャップレートよりも、銀行の貸出金利が低く、その差が大きいほど、つまり、銀行の金利が低いほど、借入を行ってマンション投資を行う場合には有利になります。
このキャップレートと借入金利の差のことを「イールドギャップ」と呼びます。
イールドギャップ=マンションの投資利回り-銀行の貸出金利
このイールドギャップが大きいほど、借入を行った場合のキャッシュフローは大きくなるため、安定した賃貸経営をすることができます。
逆に、イールドギャップが小さい、あるいはマイナスになってしまうような状況では、不動産投資を効率よく行うことが出来なくなってきます。
マンション投資を行うとき、サラリーマンの場合はほとんどの人が借入を使って投資を始めます。このとき、イールドギャップがない状態で、キャッシュフローをプラスにしようとすると、大体3割程度の自己資金を使わないと、年間のキャッシュフローをプラスにすることが出来ません。
しかし、現在のような、低金利で資金を借りることができる場合は、イールドギャップが2%~3%程度になるため、自己資金は1割程度でも十分にキャッシュフローをプラスにすることが出来ます。
このように、金利が高い場合は、自己資金に余裕のある人でないと、マンション投資を行わないほうがよいのですが、現状は、自己資金も少なく不動産投資を始めることが出来る環境になっています。
一番初めに述べた、マンション投資に適した時期がある、というのは、イールドギャップの大きい時期ということなのです。
このほかにも、不動産投資を行う時期としては、相続の発生に備えたい場合などがありますが、詳しくは、【60代から不動産投資を行う場合のシミュレーション】で解説していますので、参考にしてみてください。
まとめ
今回は、下記の5点について解説しました。
【貯金とマンション投資の利回り】
【銀行の金利】
【マンションの投資利回り】
【キャップレート】
【借入を行うと有利な時期は?】
マンション投資をする場合、失敗をしないために必要なのは、十分な知識を得てから、物件を探すということです。今回のキャップレートやイールドギャップのことも、知っておくと役に立つかと思います。
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