今回は、不動産投資を行う場合に家賃収入と売却利益のどちらを狙うべきかについて解説していきます。
家賃収入と売却利益のどちらかが正しいワケではなく、投資スタイルによってかなり変わってくると思います。
ここでは、将来の安定した収入を確保したいサラリーマンのような人に向けて解説していますので、その前提でお読みいただければと思います。
なお、この記事では詳しく解説しませんが、「家賃収入=インカムゲイン」「売却利益=キャピタルゲイン」です(※詳しくは過去の記事【キャピタルゲインとインカムゲイン】をお読みください)。
目次
今の時代、売却利益では稼げない?
(画像引用:http://netbiz-kasegu.com/torendaffiliate-zasetu.html)
売却利益を狙うという事は、将来に売却する時の価格よりも、安く買うという事が前提となります。
バブル絶頂期の日本では、どんどん土地価格が上昇していたので、
土地を買う⇒土地価格の上昇⇒土地を売却⇒利益が出る
という構造になっていたのですが、現在ではアベノミクスと騒がれている昨今でも不動産の売買利益で儲けるのはかなり難しいです。
当然、将来、絶対価格が上がる事がわかっている物件であれば誰でも欲しいと思います。
誰でも欲しいという事は市場原理で価格は上がります。
考えれば当たり前のことですが、市場価値よりも安く買える物件というのは、普通は出会えません。
逆に言うと、安く買える物件というのは誰もが欲しいと思わないリスクを抱えている物件の可能性が高いとも言えます。
事故物件であったり、何かしらの問題を抱えている物件であったり。
つまり、売却益を狙った不動産投資をするというのは、プロ中のプロが行う投資方法であり、素人が少し勉強した程度でやるべき投資方法ではありませんし、おすすめも出来ません。
お金が腐るほどあって、1000万円くらいなくなっても問題ないという方ならいいかもしれませんが、大切な資金をリスクの高い投資に突っ込むのは投資ではなく投機と言います。
投機ではお金を貸してもらえない
(画像引用:http://www.kanekashi.com/blog/2010/03/001202.html)
一口で投資と言っても、実は2種類の考え方があります。
それは、投機と投資です。
厳密に言葉を使い分ける必要は無いのですが、一応解説しておきます。
売買の差額(キャピタルゲイン)で利益を出そうとすることを「投機」と言い、購入したものが将来にわたって利益を生み出していくこと(インカムゲイン)にお金を投じることを「投資」と言います。
つまり、売却利益を狙った不動産売買は「投機」であり、家賃収入を狙った不動産購入は「投資」となります。
以前、私も銀行に行って不動産投資用の資金を借りようと相談したことがあるのですが、銀行員から言われた言葉を今でも思い出します。
「当行は投機には融資いたしません」という言葉です。
私が行っている不動産投資の方法は、ワンルームマンション投資で家賃収入を確実に得ていく方法ですから、収入も安定していますし、キャッシュ・フローも健全(毎月通帳の現金が増える状態)です。
しかし、それでも投資や投機向けの融資を積極的に行っていない銀行から見れば、不動産投資は、すべて投機という扱いを受けても文句は言えないという代物なのです。
少なくとも、お金のプロである銀行員は、お金の素人である私たちが「投機」や「投資」を行うことに一定以上のリスクがあることを知っているということになります。
もちろん、不動産投資用にお金を貸してくれる銀行もありますが、「自分はお金の素人である」と言うことを認識して慎重に進めて行くことをおすすめします。
家賃収入のすすめ
(画像引用:http://clover48.com/trend/kangaeru/post-680/)
ここまで、売却利益を狙った不動産投資が悪いかのようにお話ししてきましたが、必ずしも売却利益狙いが悪いワケではありません。
売却利益狙いの方法は、「投資のプロ」が行う方法であって、サラリーマンや自営業など本業が別にある人が副業でやるには向かない方法だというだけです。
私が行っている家賃収入を狙う不動産投資は、小さいリスクで安定した収入を得る方法ですので、利益が出るのに時間がかかります。
売却利益狙いなどハイリスク・ハイリターンの投機に比べると高利回りではありませんが、老後に向けて安定収入を作れるだけでなく、素人でも比較的簡単に運用することが可能です。
私がインカムゲイン(家賃収入)をメインにした投資方法をおすすめするのは、将来にわたり利益を生む良い物件に出会うことさえ出来れば、あとは継続的な不労所得を得ることが出来るからです。
それにより、お金が本当に必要となる老後に、毎月の家賃収入を得ることが可能になります。若いうちは元気に働けばよいですが、老後はそうは行きませんから。
老後に必要なお金については過去の記事【老後は毎月いくら必要?】でまとめていますので参照してください。
安定した家賃収入を得るためには?
(画像引用:http://liginc.co.jp/life/sutema-life/67121)
家賃収入を狙うという事は、 安定した賃料収入が見込める事が前提条件となります。
安定した賃料収入を見込むためには、高い入居率を維持しつつ、家賃下落のリスクを下げる必要があります。
そのための一番簡単で確実な方法は、一般的にも知名度が高く、既に不動産の評価も高い立地の物件から不動産投資を始めることです。
簡単に言えば、少子高齢化の世の中であっても人口が減ることのない東京や横浜といった大都市の物件を選ぶのがおすすめです。
ただ、大都市圏で条件の良い物件というのは、一般に出回る前に買われてしまうことがほとんどで、買うこと自体が難しいという現実があります。
しかし、私が利用している不動産業者のように、市場に出回る前のお買い得物件を扱っている優良な業者も存在します。
そういう良い業者を見つけ、良い物件を手に入れることさえできれば、誰でも高い確率で安定した収入を稼ぎ続ける資産を築けるのが不動産投資の魅力です。
不動産投資と経済リスク
(画像引用:http://www.dealingfxblog.net/archives/28429845.html)
不動産投資をする人は、老後の不安で始める人が多いと思いますが、それに加えて日本経済の先行きに不安を持って始める方も多いようです。
と言うのも、もし日本政府が破綻して、日本円が紙くずになったとしても、現物の不動産を所有していれば、その時の時価で家賃収入が入ってくるので、紙くずになるかもしれない現金に比べて価値が減らないと考えるからです。
しかし、日本円が紙くずになるということは、その時はインフレがものすごい勢いで起こることも意味します。
一般的に金利というのは、インフレ率に比例しますので、大きなインフレが起こる状況では、金利もかなり上昇してしまいます。
ちなみに日本の不動産バブル全盛の頃は金利が8%程度まで上昇したことがありました。
こういった時に、大きな借り入れがあると、返済出来なくなるリスクが大きくなります。
つまり、不動産投資をするにしても、借り入れの比率を大きくし過ぎると、危険であるということです。
「レバレッジ(少ない自己資金で大きなお金を動かすこと)を効かせて効率的に不動産投資をしています。」と言うと、かっこよさそうですが、そういう人は、「私はリスクを考えていません」と言っているのと等しいことなのです。
レバレッジを効かせた不動産投資は、調子のいい時はすごく儲かりますが、ひとたび金利が上昇したりすると、儲けるどころがマイナスになったり、ひどい場合は破産に追い込まれたりといった危険があります。
一攫千金狙いの投機であればそういった投資手法もありだとは思いますが、安定した老後資金を得るための投資に向いている方法とはいえません。
不動産はとても大きな買い物ですので、ローンを組んで購入する方がほとんどですが、上記のような理由から自己資金は十分に入れておくべきです。
ローンの比率をどうするべきかなどは、今後解説していきますが、繰り上げ返済などをしながら、債務比率(借り入れの比率)を下げる努力をしていかなければなりません。
このあたりのリスク管理もきちんと行っていけば、インフレで金利がある程度上昇したとしても、利益が確保できる資産を構築することも可能です。
家賃収入と売却利益まとめ
私の考え方では、不動産投資に期待する事は長期安定収入を産んでくれる仕組みを作る事です。
そのため、空室や滞納、災害のリスクを抱えて売却利益に賭けるよりも、リスクを抑えて、大きくなくても安定した家賃収入を目的に不動産投資に取り組むようにしています。
それでも毎月数十万円程度の純利益を家賃収入から得ることは十分に可能です。
しかも、安定した家賃収入が見込める立地条件の良い不動産を購入しておけば、将来的に価値がゼロになるという可能性はほとんどないと思いますし、もしかすると価値が上昇してキャピタルゲインが得られるという可能性もあります。
しかし、売却益はあくまでも副産物であり、基本的にはあくまでも安定した家賃収入を重視して、不動産投資を始めることをお勧めします。
注意して欲しいことは、このような家賃収入を狙った不動産投資の利益は、そもそも入居者があって、初めて意味のあるものだということです。
安く買って、想定利回りが高いなどと喜んでいると、実際には入居者が決まらず、利回りが想定の半分も行かないなんてことも起こります。
ですから、利回りと同時に、考えておかないといけないのは入居率です。
この値が低ければ、どんなに安く物件を購入しても意味がありませんし、リスクの高い投資となります。
その辺の話も今後していきたいと思います。
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