今回は、不動産投資用の物件を購入する際に考えておくべきチェックリストを紹介します。
基本的に、私が行っているのは東京を中心とした地域での中古ワンルームマンション投資がメインです。
そのため、今回はあくまでも東京での中古区分所有マンション(ワンルームやファミリーマンション)に限ったポイントになります。
限られた範囲とは言っても、10年以上にわたって使っている方法ですし、東京以外の場所であってもかなり当てはまる内容だと思いますので、ぜひ、参考にしてください。
目次
物件選びのポイント1:立地
長期的に賃貸需要が見込める立地であるか?
これは、簡単に言うと、人気のある地域や沿線であるか、という事です。
理想を言えば、東京都内であればJR山手線の内側で、駅から徒歩5分以内といった感じになります。
ただ、そういった地域で条件の良い物件は少ないのも確かです。
その場合に参考になるのが、駅の利用者が多いかどうか、または、利用者の多いターミナル駅への乗り継ぎが良い駅であるかなどです。
駅の利用者数はWikipediaなどで駅名を検索すれば調べることが出来ます。
例えばですが、乗降者数の一番多い新宿駅をウィキペディアで検索すると、
一日平均乗降者数は約335万人(2013年)と世界一(ギネス世界記録認定)多い駅であり、地下道などで接続する西武新宿駅まで含めると約358万人(2013年)となり、この数字は横浜市の人口に匹敵する。年間の乗降客数に直すと約13億人となりインドの人口をも上回る規模となる。(引用:Wikipedia)
といった具合に、どのような駅なのかを調べることができます。
ちなみに、2位以下は次のような感じになっています。(データは2008年のもの)
2位. 池袋駅 2,711,067人
3位. 渋谷駅 2,150,361人(直通連絡客除く)
4位. 横浜駅 1,203,963人
5位. 東京駅1,133,169人
6位. 品川駅 913,182人
7位. 高田馬場駅 906,124人
8位. 新橋駅 856,793人
9位. 大宮駅(埼玉) 632,438人
10位. 上野駅・京成上野駅 621,788人(上野駅単独では574,513)
(引用:http://d.hatena.ne.jp/keyword/駅別乗降客数ランキング)
こういったターミナル駅やターミナル駅への乗り継ぎの良い駅から、徒歩10分以内、できれば5分以内の物件を選んで購入していく事になります。
物件選びのポイント2:築年数
もちろん、新しい物件のほうが、キレイだということもあるのですが、それよりも大切なのは、地震に対する耐震性がしっかりしているかです。
内装はリフォームすればキレイに出来ますし、外観もたいていのマンションは大規模修繕を行うことで、見た目を良く保っていけます。
しかし、マンションの構造そのものを、後から変えることは、コストも掛かるため現実的ではありません。
そこで、耐震性を判断する基準として、耐震基準法の基準が、旧耐震基準か新耐震基準か、というのが参考になります。
新耐震法というのは、1978年(昭和53年)の宮城県沖地震の後に、耐震設計法が見直され、耐震設計基準が大幅に改正したものです。
つまり、1983年以降に竣工したマンションであれば、地震に強い建物になっているということです。
実際、東日本大震災でも、新耐震基準の建物は旧耐震基準の建物に比べて、被害が少なかったというデータもあります。
(出典:高層住宅管理事業協会 調査数1642棟)
つまり、新耐震法(昭和56年制定)に適合した物件か どうかが重要になります。
昭和56年以降に建築許可を受けて建てられた建物なので、建築年でいうと昭和58年(1983年)以降に立てられた物件であれば、耐震性も良い物件であるということになります。
物件選びのポイント3:修繕積立金 (しゅうぜんつみたてきん)
一般的にマンションは、住民がそれぞれの部屋を区分所有しています。区分所有している部屋は、オーナーがそれぞれ修繕やリフォームなどを行いますが、それ以外の共用部分である、階段やエレベータ、配管、屋上、壁や駐車場などは、居住世帯全員でお金を出し合って、修繕や管理を行っています。
この修繕に必要なお金を積立てていて、それを修繕積立金と呼びます。この修繕積立金を使って、共用部分の大規模な修繕(大規模修繕)を行っていきます。
修繕積立金の相場は、居住面積(㎡)×月200円が目安となります。20㎡程度のワンルームですと、月4000円程度が目安となり、それよりも低い場合は注意が必要です。将来的に積立金が不足していく可能性が高いので、値上がりを想定した投資計画が必要になります。
中古マンションの場合は、現状の積立金の総額を確認する必要があります。大規模修繕は15~20年に一度行われ、平均的な費用は2,000万円~3,000万円程度(※規模や階数によっても変わってきます。)必要となりますので、それに見合う積立額があるかどうかをチェックする必要があります。
物件選びのポイント4:総戸数
総戸数とは、自分の購入しようとしているマンション一棟に、いくつの世帯戸数が入っているのかです。この戸数が多いと、一世帯あたりの大規模修繕工事の負担額が減る傾向にあります。
総戸数は、多くなければいけない訳ではありませんが、同じ様な立地で同じ様な価格の場合は総戸数が多い方が将来共用部分の修繕費負担等が軽くなる可能性があるのです。
目安としては総戸数が30~40戸以上の物件であれば、 問題は少ないかと思います。
物件選びのポイント5:部屋の広さ
単身向けのワンルームであれば、18㎡以上(立地が良ければ16㎡以上)、理想は20㎡以上が目安となります。
広ければ広いほど良いという訳ではありませんが、広いほど賃料も高くなりますし、賃貸用であれば20~25㎡くらいが、オーナーとしては貸しやすいし、借りる側からすると、借りたい広さになるかと思います。
物件選びのポイント6:賃貸内容
しっかりした賃貸管理会社に依頼するのであれば、それ程気にしなくても良いかもしれませんが、購入時に賃借人の付いている物件の場合では、以下のことをチェックする必要があります。
・賃料の入金に遅れはないか?
・期間が有効な賃貸借契約書はちゃんと取り交わされているか?
(※中には5年以上前の賃貸借契約書しかなく、自動更新の様な形で更新料も回収できていないなんて事もあります。 )
・サブリース契約かどうか?
(※サブリース契約は一般的には賃料を保障しくれる有利な契約と考えられがちですが、解約条件や賃料条件など非常にトラブルが多い事も事実です。サブリース契約の場合にはその内容をしっかりチェックする事が重要です。 )
最も簡単で確実な方法は、このへんの説明もしっかりと行ってくれる、信頼のおける不動産業者を選ぶことになってきます。
物件選びのポイント7:瑕疵担保責任
瑕疵(かし)という言葉は聞き慣れないものですが、購入するときは分からなかった物件のダメージなどのことです。例えば、一戸建ての物件を購入した後に、シロアリがいて、土台が腐っていたとか、そういうものです。
売主が不動産業者の場合は法律で2年の瑕疵担保が義務付けられているので、なにか不具合が見つかった場合は、 不動産業者が費用を出してくれます。しかし、売主が個人の場合は一般的に免責となる事が多く、購入後に物件に瑕疵が見つかった場合は多額の修繕費用がかかる場合もあります。
よって、物件を個人の売主から購入する場合は、特に物件の内容を吟味する必要があります。
自社物件を扱う不動産業者も多くありますので、そういった物件を選ぶのも賢いやり方ですが、安全なぶん、お宝物件は望めません。
物件選びのポイント8:建築条件等
所有権か借地権か
例えば、土地の所有形態が所有権か借地権か?というのがあります。
所有権というのは、物件の所有の権利を持つことです。
一方、借地権というのは、土地を利用する権利を長期間にわたって得る形態です。その権利がなくなると、建物を撤去しなければならないこともあります。
そのため、借地権の場合は融資が利用できなかったり、マンションの部屋の所有権の他に、借地権の名義変更料や更新料や月額の借地代などが発生したりして来ます。当然ながら、所有権よりも市場価値は低くなります。
完了確認を受けているか
建物を建築する場合、建築確認(建築前の審査)が必要になりますが、その申請どおりに建築されているかを確認する完了確認(建築後の審査)を受けているか、というのも重要になります。
実際にあった話ですが、建築確認時は1階を駐車場にするという計画で申請を通しているにも関わらず、工事の際に仕様変更し一階に店舗を作ってしまっている物件が有りました。
駐車場であれば共用部分という扱いで、容積率(土地面積に対する建物の床面積の比率)の計算から除外できるのですが、店舗の場合は専有部分に当たり容積率の計算に算入しなければなりません。
簡単にいうと軽い違法建築になるという事で、容積率が基準以内であれば問題は大きくありませんが、基準を超えてしまっている場合は、建物の床面積を減らして、容積率を下げる必要が出てくる可能性もあり、大きなコストがマンションの所有者に振りかかる場合も考えられます。
物件選びのポイント9:その他
外壁はタイル貼りかどうか
一般的に、外壁はタイル貼りのほうが良いといえます。
建築時のコストは吹付け塗装などのほうが安いのですが、将来の建物修繕費用はタイルの方が安い場合が多いです。
タイルは半永久的に使用可能なため、修繕時も汚れを落とす程度ですみますが、塗装の場合は、再塗装が必要となるため、修繕費がかさみます。中古物件を購入する場合は、タイル貼りをおすすめします。
室内洗濯機置場かどうか
特に女性などの場合、洗濯機置き場が室内にない物件は敬遠されがちです。古めのワンルームマンションですと、洗濯機置き場がない場合もありますので注意が必要です。賃貸付けにも大きく影響してきます。
その他
その他にも海抜は?建築会社は?建物内のトラブルや事故は?などなどチェックしようと思えばいくらでもチェックする所はありますが、重要なのはその全てをクリアする事ではなく、どのようなリスクがあるのかを知り、自分の中で優先的に排除すべきリスクを考えておくことです。
完璧な物件は存在しませんので、バランスのとれた物件を探していきましょう。
不動産投資の物件選びまとめ
【物件のチェックリスト】の中でも、1.立地、2.築年数、4.広さ、については重視された方が良いと思います。他の要素に比べ自助努力でのリスク回避が難しい為です。
とは言えこの3点でさえも絶対ではなく総合的な判断となってきます。
例えば、
A:銀座で築30年・15㎡の部屋で1,500万円
B:八王子で築10年・22㎡の部屋で1,500万円
という物件があった場合、どちらを選ぶか聞かれたら?
Aはとにかく立地は良いですが設備等の修繕費用は購入して早いうちに掛かる可能性があります。Bの場合は建物的なリスクは低いかもしれませんが、将来的な賃貸需要ではリスクを抱える可能性があります。
極端な例かもしれませんが、簡単に言うとリスクの優先順位をつけるとはそういう事です。どちらが絶対的に正解とは言い辛い部分があります。
ちなみに私の場合でしたらAの方がお勧めですが・・・。
また、利回りに関してですが、これも一律にラインを引くのは難しいと思いますが、 例えば、上記Aが利回り5%、Bが利回り7%とするとどうでしょうか?
単純に利回りの高いBを選んだ方が良いでしょうか?
これもやはり何に優先順位を置くのかによって変わってきます。多少空室のリスクが上がっても現状の利回りが高いもので大きなキャッシュフローを狙うならA。目先の収益は大きくなくても長期的なリスクを排除したいのならB。といった具合です。
ただし、一つだけ避けて頂きたいのは、地方での不動産投資です。いくら利回りが高くても地方での不動産投資は絶対にオススメしません。
もちろんリスクが高い分だけ利回りも高いので、中にはごくわずかに大成功した!という人もいるかもしれません 。ただそれ以上に失敗した方が多いのも事実です。
不動産投資に限らず、お金で失敗する人の多くは、欲に目がくらんで身の丈に合っていない投資をしてしまうようです。
物件を選ぶ際には、欲望を押さえつつ、冷静で現実的な選択をするのが良いと思います。
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