ここ数年、お金持ちの方たちの間で行われていた相続税の節税方法に、タワーマンションを使った節税方法があります。その節税対策について、国税庁が厳しいチェックを行う方針を採り始めました。
今回はこの節税の仕組みと、なぜ国税庁がチェックを厳しくしなければならなくなったのかについて解説していきたいと思います。
目次
タワーマンションを使った節税方法について
タワーマンションを使った節税は、主に相続税対策として行われています。相続税は相続する資産が相続税の控除額以上の部分に対して課税されます。
現在の相続税の非課税枠は
「 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 」
ですので、相続人が配偶者1人、子供2人であれば、 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円となります。
つまり、4,800万円以上の課税対象資産を持つ人は、相続税を支払う必要があるということになります。この4,800万円というのは、資産の「評価額」のことで、税金というのは、この資産の評価額に対して課税されます。この評価額は、現金であれば100%ですし、株などの有価証券では時価となります。
不動産では土地であれば、公示地価などを基準にして決まります。一般的に、公示地価から算定された不動産の固定資産税評価額は、現金でその物件を買う金額よりもかなり低くなります。
・土地の評価額は公示価格の70%程度
・建物は建築費の50~70%程度
が、おおよその目安となりますが、実際の評価額は更に低くなることも多くあります。
また、不動産投資では、建物を賃貸にまわすので、賃借人にその借家権があると認められるため、建物の評価額は更に30%低くなります。
結果として、不動産投資用のマンションなどを購入すると、相続税の評価額が半分程度に軽減されるという事になるため、相続対策として人気が高いのです。
不動産の中でもタワーマンションが相続対策に有効だった訳
現金資産や株式資産の多い富裕層の節税対策として、現金資産をマンションなどの不動産資産へ移すというのが節税につながることはわかりましたが、その中でも、タワーマンションというのは、一部屋あたりの土地持分が少ないという特徴があります。
不動産の評価額というのは、土地と建物の合計となるのですが、タワーマンションの場合は、課税対象の評価額部分というのは、「ほとんどが建物部分」になります。建物部分の評価額というのは、どんな場所に建っていても基本的には同じです。なぜなら、一平米あたりの建築費というのは、どこに建てようが、あまり変わらないためです。
しかし、タワーマンションは利便性などが高い場所にあるため、土地の持分はほとんどないにもかかわらず、その利用価値によって、実際の取引価格は、非常に高額となる傾向にあります。また、階数が上に行くほど価格も高くなる傾向にあります。
つまり、非常に高価な利用価値のあるタワーマンション(取引価格も高額)ですが、建物部分の建築費で計算されるため、不動産としての課税評価額は非常に安価になるということになります。
例えばですが、1億円の価値のあるタワーマンションを購入したとしても、その課税評価額は、3,000万円程度となる、といったこともありえるのです。さらにこの物件を賃貸に回していると、評価額は2,000万円程度まで圧縮されることもあります。
1億円の現金を保有していれば、莫大な相続税がかかりますが、タワーマンションを購入することで、相続税をゼロにすることが出来るのです。
相続税の節税については、【60代から不動産投資を行う場合のシミュレーション】でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。
タワーマンション節税に対する国税庁の動向について
このように、タワーマンションは時価と評価額の開きが大きくなります。この差額の節税効果を狙ってタワーマンションに投資を行う富裕層が増えているようです。
国税庁が調べたところによると、2013年までの3年間で、約1億円で売買された物件の評価額が約3600万円だったなど、343件の売値(時価)が評価額の3倍を超えていたということです。
こういったケースの中で、相続後にすぐ売却し、多額の利益を得るケースが発生していることに対して、国税庁の資産評価企画官は「不動産の値上がりで節税効果が大きくなっており、看過できないケースには適切に適用したい」と述べているそうです。
こうしたタワーマンション投資を使った節税策は、金融機関や税理士法人が斡旋していることもありますが、今後は評価が厳しくなると思われますので、節税対策としての効果はいつまで続くかは不透明のようです。
まとめ
今回は、「タワーマンション使った相続税の節税ができなくなる?」について解説してきました。内容は、
【タワーマンションを使った節税方法について】
【不動産の中でもタワーマンションが相続対策に有効だった訳】
【タワーマンション節税に対する国税庁の動向について】
でした。
不動産投資には、相続税の節税効果がありますが、国の方針や法律の変更など、今まで使えていた節税対策が使えなくなることもありますので、節税対策を狙った不動産投資を行う場合は、税理士や不動産の専門家に相談することをお勧めいたします。
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